キッチンカーを始める人にありがちな憧れのひとつが、「大行列」です。 人が並ぶ光景は、それ自体が宣伝になり、人気の証のようにも見える。実際、フードイベントの場では、この戦略が有効に働くこともあります。
フードイベントでは、自身が“主役”です。 食そのものが目的であり、来場者は並ぶことも含めて楽しみに来ている。
調理に時間をかけ、待つ時間すら体験として演出することが、価値になる場面です。
しかし、すべての現場がそうではありません。
親子参加の子ども向けイベント、地域の催し、そして日常の出店。
こうした場では、私たちは“主役”ではなく、“脇役”です。
来場者の目的は、遊びであり、交流であり、日常の延長です。
その中で食事は「ついで」や「必要だから選ぶもの」に近い。
この状況で行列を作ると、何が起きるか。
人は雰囲気で並びます。そこまで強く食べたいわけではなくても、列があれば並んでしまう人が一定数いる。
その結果、本当に食べたい人が、時間の都合で諦める。
子どもを連れている親、次のプログラムがある人ほど、その影響を強く受けます。
私たちは、この状態を良しとしません。
脇役である以上、主役の時間を奪ってはいけないからです。
だからこそ、意図的に行列を作るような手法は取りません。
掲げているのは、「最短30秒での提供」です。
早さはサービスであり、配慮です。
本当に必要としている人に、きちんと行き渡らせるための考え方です。
行列は、作ろうと思えば作れる。
しかし、自分が主役なのか、脇役なのか。
そこを見誤らないことが、現場では何より重要です。